《私はまだ元気だから今はいい》
会を始めるにあたって、ぴんころ地蔵尊会の大川さんが"気軽なお話会"だからと、地域の仲間、馴染みのある方に連絡して下さったのだか、思いの外、皆さん関心を示されない。「大切なことだから」「いつ何時なんどきお世話になるかわからないから」と、声をかけてみても反応が悪い。会場周辺の地域へチラシをポスティングしたりしてみるものの反応はない。開催日が近づくにつれて、
「私はまだ元気だから今はいい」
「私は施設に入るから」
「なんで業者が開催するの?」
等のあまり芳しくない反応が届き始めた。
だが、これが普通の心理と思われる。今、お元気な方はいつまでも健康であり続けることを望んでいる。
大川さんも
「大事なことなのにねえ。なかなか伝わらない」、「水戸っぽだから」
と、少し元気のない声がでてきはじめた。ちなみに"水戸っぽ"とは、水戸人の頑固で、理屈っぽい、新しいものを受け入れない気質を表す言葉である。
「まず、来ていただける方々だけででも始めさせてください。必ず安心につながる時間となりますから」と、話しつつなんとか開催に漕ぎけることができた。
第1回、参加者はぴんころ地蔵尊会の方々12名、専門職の方々が6名、上々の滑り出し、声かけしていただいたおかげである。早速、イメージしていたお話し会スタイルでスタート。
日頃の健康、不安をテーブルのグループでおしゃべりしながら、互いの日々を振り返っていただいた。最初は在宅医療の専門的な話が始まるのではと、なぜか警戒心があり硬い雰囲気であったが徐々に在宅医療・ケアの簡単なクイズを加え、一緒に考える時間に進んでいくと、テレビの健康情報番組を楽しむような流れになり、専門職の方々に正解とコメントをいただくことで信頼関係の芽が出始め、打ち解けはじめた。
「はぁー、そんなことになっとるの」
「本当に大丈夫なの」
と、少しずつ自分ごとへと意識がつながっていった。
一方、専門職の方々にとってもはじめての試み。住民と同様に最初は固かったが、そこは日頃から患者様と接しておられる仕事。きっかけができると話のリズムは見事であった。
興味、関心が出てくると会話はどんどん広がっていく。受け身から主体性へと。
◯会のテーマ『安心につなげること』
◯ポイントは『自分ごとにしていただくこと』『専門職が日常的に寄り添う関係づくり』
手探りながらも初回から地域性溢れる良い雰囲気が生まれた。
しかし、今回はぴんころ地蔵尊会の皆さんの理解があったからこそ開催ができたのである。何もなく、地域の中でお話会を開催することができるのであろうか?第2回は日頃から多くの住民の方が利用されている"水戸市市民センター"での開催をしてみることにした。場所は、ぴんころ地蔵尊のある新荘地区。お話会が地域にしっかりと届けられるかどうか、ここからがいわば'公式戦"である。(文責 関原宏昭)
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